
記事のポイント
- UE5採用だがLumen・Nanite不使用のため、設定次第で大幅なFPS向上と競技性の両立が可能
- 「低」が最強とは限らない!視認性を高めるためのシャドウやアンチエイリアスの適正設定を解説
- 最新アプデで判明した「テクスチャ」設定の罠と推奨設定、DLSSモデルの使い分けを完全網羅
Embark Studiosが贈る待望のPvPvE脱出シューター『ARC Raiders(アークレイダース)』。本作はUnreal Engine 5(UE5)を採用していますが、『THE FINALS』と同様に開発チームによる徹底的なカスタムチューニングが施されています。そのため、他のUE5採用タイトルにありがちな「重すぎて動かない」という現象は起きにくいものの、勝つための設定と映像美を楽しむ設定の境界線が非常にシビアです。
特に本作は、物陰に隠れた敵を見つけ出す「視認性」が生死を分けるゲームです。闇雲にすべての設定を「低」にするだけでは、逆に敵が見えにくくなったり、重要な環境音が聞こえにくくなったりする可能性があります。また、アップデート1.7.0以降、特定のグラフィック設定においてパフォーマンスと画質のバランスが劇的に変化しました。
本記事では、海外の検証データや実際のプロプレイヤーのフィードバック、そして最新のパッチ情報を基に、FPSを最大限に稼ぎつつ、敵を誰よりも早く見つけるための「最強グラフィック設定」を徹底解説します。
前提知識:ARC Raidersのエンジン特性と最適化の方向性
設定をいじり始める前に、本作の技術的な背景を少しだけ理解しておくと、なぜその設定が必要なのかが見えてきます。
『ARC Raiders』はUE5で動作していますが、非常に重い処理として知られる「Lumen(リアルタイムグローバルイルミネーション)」や「Nanite(仮想化ジオメトリ)」といった機能は意図的にカットされています。その代わりに、NVIDIAのRTXGI(グローバルイルミネーション)や従来のLOD(レベルオブディテール)システムを採用しています。
これはつまり、「昔ながらの軽量化テクニックが通用する」ということです。しかし同時に、単純な設定ミスが予期せぬ入力遅延(ラグ)や、遠くの敵が表示されない(ポップイン)問題を引き起こすことも意味します。
これから紹介する設定は、以下の3点を最優先目標としています。
- 高フレームレートの維持: 接敵時のエイムを安定させる。
- 入力遅延の最小化: マウス操作に対する反応速度を極限まで高める。
- 視認性の最大化: 暗い屋内や茂みに隠れた敵を明確に視認する。
それでは、具体的な設定項目を見ていきましょう。
1. ディスプレイ設定:遅延を極限まで削る
まずは基礎となるディスプレイ周りの設定です。ここで間違った設定をしていると、どんなに良いグラフィックボードを使っていても「重い」と感じてしまいます。
ウィンドウモード:ボーダーレスフルスクリーン
- 推奨設定: ボーダーレスフルスクリーン
一般的にFPSゲームでは「フルスクリーン」が推奨されがちですが、本作においては「ボーダーレスフルスクリーン」と「フルスクリーン」の間で入力遅延やFPSの差がほとんど計測されていません。Alt+Tabでの画面切り替えがスムーズなボーダーレスフルスクリーンが安定です。
NVIDIA DLSS フレーム生成
- 推奨設定: オフ(競技志向の場合) / オン(滑らかさ重視の場合)
RTX 4000番台のユーザーが使える機能です。オンにするとフレームレートが約40%向上し、見た目は非常に滑らかになります。しかし、AIがフレームを生成する処理の分だけ、操作に対する遅延(レイテンシ)がわずかに増加します。 撃ち合いでの反応速度を最優先するなら「オフ」、映像のヌルヌル感を楽しみつつPvEメインで遊ぶなら「オン」がおすすめです。
垂直同期 (V-Sync)
- 推奨設定: オフ
ティアリング(画面の裂け目)が我慢できないほど酷い場合を除き、基本的には「オフ」一択です。オンにすると明確な入力遅延が発生します。
NVIDIA Reflex 低遅延モード
- 推奨設定: オン(またはオン+ブースト)
システム遅延を大幅に削減する必須機能です。基本は「オン」でOKです。ただし、一部の環境(特にCPUバウンドの状況)では、これが原因でフレームタイムが不安定になり、微細なスタッター(カクつき)が発生する報告があります。もしゲームがカクつくと感じる場合は、一度「オフ」にして様子を見てください。
2. 解像度スケールとアップスケーリング:画質とFPSのトレードオフ
現代のゲームにおいて、最もFPSに影響を与えるのがこのセクションです。ネイティブ解像度(100%)で動かすよりも、DLSSなどのアップスケーラーを使用した方が、画質を維持したまま大幅にFPSを稼げます。
解像度スケール方式
- NVIDIAユーザー: NVIDIA DLSS
- AMDユーザー: FSR (または XeSS)
- Intelユーザー: XeSS
NVIDIAのグラフィックボードを使用しているなら、迷わずDLSSを選択してください。FSRやXeSSと比較して、動きの速いオブジェクトの描画や、細かいフェンスなどのディテール表現において圧倒的に優秀です。
NVIDIA DLSS 品質
- 推奨設定: 品質 (Quality) または バランス (Balanced)
基本は「品質」推奨です。4Kモニターを使用している場合は「パフォーマンス」でも粗さが目立ちにくいですが、フルHDやWQHD環境で「パフォーマンス」以下にすると、遠くの敵がボヤけて見えにくくなります。
NVIDIA DLSS モデル(※重要)
- 推奨設定: トランスフォーマー (Transformer)
ここが設定の分かれ目です。以前のバージョンでは「CNN」モデルの方が安定していましたが、アップデート1.7.0以降、新しい「トランスフォーマー」モデルの精度が劇的に向上しました。
- トランスフォーマー: 画像がシャープでくっきり見える。以前あったゴースト(残像)も大幅に改善された。
- CNN: 全体的に少しソフト(ボヤけた)な印象。
敵を視認するという観点では、輪郭がはっきりする「トランスフォーマー」モデルの使用を強く推奨します。
3. 詳細グラフィック設定:各項目の完全分析
ここからが本題です。添付の画像にある日本語UIの項目順に沿って、一つひとつ最適な設定を解説します。
視界距離 (View Distance)
- 推奨設定: 高 (High) または エピック (Epic)
- 避けるべき設定: 低 (Low)、シネマチック (Cinematic)
これはオブジェクトのLOD(描画距離による簡略化)を制御する設定です。「低」にするとFPSは上がりますが、中距離の岩や遮蔽物が消失したり、近づくと急にパッと現れる(ポップイン)現象が多発します。これは敵の視認において致命的なノイズとなります。 逆に、最新アプデで追加された「シネマチック」は、ポップインをほぼ完全に防ぎますが、「エピック」に比べて約40%近くパフォーマンスが低下するシーンがあります。コストパフォーマンスが悪すぎるため、「高」または「エピック」が最適解です。
アンチエイリアス
- 推奨設定: 低 (Low)
DLSSやFSRなどのアップスケーラーを使用している場合、この設定は基本的に無視されるか、アップスケーラー側の処理が優先されます。無駄な負荷を避けるため、また画像の輪郭をソフトにしすぎないために「低」にしておくのが無難です。アップスケーラーを使わずネイティブ解像度でプレイする場合のみ、ジャギーを消すために調整してください。
シャドウ (Shadows)
- 推奨設定: 中 (Medium) または 高 (High)
「影なんて不要だから『低』でいい」と思いがちですが、本作においては注意が必要です。「低」にすると、プレイヤーキャラクターの影が表示されなくなったり、オブジェクトの影が不自然に消えたりします。 特に屋内戦において、「曲がり角の先から伸びる敵の影」が見えるかどうかは、先撃ちできるかどうかに関わります。「高」にすると屋内のライティングがより正確になり、暗い場所での視認性が向上するという検証結果もあります。「中」以上、余裕があれば「高」を推奨します。シネマチックは重すぎるため非推奨です。
ポストプロセス
- 推奨設定: 低 (Low)
アンビエントオクルージョン(AO:環境遮蔽)やブルームなどを制御します。以前は設定によって茂みの描写にノイズが走るバグがありましたが、現在は修正されています。 しかし、「高」以上にするとAOが強くかかり、茂みや岩の周りに不自然な影(ハロ)が発生することがあります。これが敵の輪郭と混同しやすいため、視認性を最優先するなら「低」がベストです。画面が少しフラットに見えますが、敵を見つける上では有利に働きます。
テクスチャ (Textures)
- 推奨設定: シネマチック (Cinematic) または 高 (High)
- プロの裏技: ここだけは「シネマチック」推奨!
これが今回の設定ガイドの目玉情報です。通常、「シネマチック」設定は劇的に重くなるため避けるべきですが、テクスチャ設定に関しては例外です。 検証の結果、テクスチャを「高」から「シネマチック」に上げても、VRAM使用量やFPSへの影響はほぼゼロであることが判明しています。むしろ、「シネマチック」にすることでテクスチャのストリーミング処理が改善され、移動中にテクスチャが遅れて読み込まれる現象(ボケていた壁が急に鮮明になる現象)が減少します。 PCスペックに余裕がない場合以外は、ここは「シネマチック」一択です。
エフェクト (Effects)
- 推奨設定: 中 (Medium)
- 要注意ポイント: 「低」の罠
爆発エフェクトや雲の描写に関わります。「低」にするとFPSは稼げますが、「キャラクターが背負っているバックパックのライトが異常に眩しく見える」という問題が報告されています。味方や自分の画面が見づらくなる可能性があるため、「中」にしておくことでこの発光現象を抑えられます。 「エピック」や「シネマチック」は雲の描写がリッチになりますが、FPSへのヒット(約20%減)が大きいため、戦闘重視なら「中」で留めておきましょう。
リフレクション (Reflections)
- 推奨設定: 中 (Medium) または 高 (High)
水面や金属の反射です。「低」にすると、非常に簡易的なキューブマップ反射になり、特定のオブジェクトの周りに変な枠(ハロ)が見えるなど、画質が著しく低下して安っぽくなります。「中」に上げてもFPSへの影響は軽微(数%程度)なので、最低でも「中」、できれば「高」にしておくと、不自然な反射ノイズに惑わされずに済みます。
植生 (Foliage)
- 推奨設定: 低 (Low) または 中 (Medium)
これも勝敗に直結する項目です。この設定は、地面の草や小さな茂みの密度を制御します。
- 低: 草の量が減り、茂みに隠れている敵やアイテムが見つけやすくなる。
- 高・エピック: 草が生い茂り、画面は豪華になるが、敵が隠れやすくなる。
競技的なアドバンテージを得るなら「低」が最強です。ただし、「低」だとあまりにも地面がスカスカで寂しいと感じる場合は「中」までは許容範囲です。「高」以上は敵を見逃すリスクが高まります。
グローバル・イルミネーション解像度
- 推奨設定: 低 (Low)
光の跳ね返りの精度を設定しますが、「低」と「高」でプレイ中の見た目の差を見分けるのは困難です。しかし、FPSへの影響は大きいため、ここは迷わず「低」に落としてパフォーマンスを稼ぎましょう。
レイトレーシング:NVIDIA RTX グローバルイルミネーション
- 推奨設定: スタティック (Static)
メニューの別の場所(または詳細設定)にあるかもしれませんが、もし設定可能であれば、RTX GIは「スタティック(静的)」にすることを強く推奨します。 「ダイナミック(動的)」にするとリアルタイムに光が計算され美しいですが、GPU負荷が非常に高いです。「スタティック」でも十分にライティングは綺麗であり、何よりフレームレートが安定します。もしRTX 3080以上のハイエンドGPUを使用していて、どうしてもリアルな光を楽しみたい場合のみ「ダイナミック:高」を選んでください。
4. 忘れがちなゲームプレイ設定:FOVとモーションブラー
グラフィック設定以外にも、視認性に関わる重要な項目があります。
視野 (FOV)
- 推奨設定: 80 (最大)
三人称視点(TPS)のゲームにおいて、FOVは広ければ広いほど周囲の情報を多く得られます。また、FOVを広げると画面中央に描画されるオブジェクトが小さくなるため、GPU負荷がわずかに下がるという逆説的なメリットもあります。基本は最大値の80に設定しましょう。
モーションブラー
- 推奨設定: オフ
カメラを動かしたときに画面を意図的にブレさせる機能です。映画的な臨場感は出ますが、敵を狙うシューターゲームにおいては百害あって一利なしです。ブレのせいで敵の動きを目で追えなくなるため、必ずオフにしてください。
設定まとめ:プレイスタイル別推奨リスト
最後に、これまで解説した内容をプレイスタイル別に整理しました。
【ガチ勢向け】視認性・FPS最優先設定
敵を見つけ、撃ち勝つことだけに特化した設定です。
| 項目 | 設定値 | 理由 |
|---|---|---|
| ウィンドウモード | ボーダーレス | 安定性と利便性 |
| フレーム生成 | オフ | 遅延排除 |
| DLSSモデル | トランスフォーマー | 輪郭をくっきりさせる |
| 視界距離 | 高 | ポップイン防止 |
| シャドウ | 中 or 高 | 敵の影を視認、屋内視認性 |
| ポストプロセス | 低 | 余計な影やハロを排除 |
| テクスチャ | シネマチック | 読み込み遅延防止(負荷増なし) |
| エフェクト | 中 | リュックの発光バグ回避 |
| リフレクション | 中 | 視覚ノイズ低減 |
| 植生 | 低 | 隠れている敵を丸裸にする |
| GI解像度 | 低 | FPS確保 |
| RTX GI | スタティック | FPS確保 |
【バランス型】画質も楽しみたい人向け
PCスペックに余裕があり、Arc Raidersの世界観も楽しみたい人向けです。
| 項目 | 設定値 | 変更点と理由 |
|---|---|---|
| フレーム生成 | オン | ヌルヌル感を優先 |
| シャドウ | 高 | より自然な陰影 |
| リフレクション | 高 | 水面や金属の質感を向上 |
| 植生 | 中 | 地面のスカスカ感を軽減 |
| RTX GI | ダイナミック(高) | 光の表現をリアルにする |
まとめ
『ARC Raiders』のグラフィック設定は、「すべてを低にすれば良い」という単純なものではありません。特に「テクスチャはシネマチック」「エフェクトは中」「植生は低」という3つのポイントを押さえるだけで、FPSを犠牲にすることなく、敵の見つけやすさが格段に向上します。
また、アップデートによって「DLSS トランスフォーマーモデル」の有用性が上がったことも見逃せません。以前の情報では「CNN一択」と言われていましたが、現在はトランスフォーマーの方がクリアな視界を提供してくれます。
自分のPCスペックと相談しながら、まずは「ガチ勢向け設定」をベースにし、そこから余裕があればシャドウやリフレクションを上げていく調整方法をおすすめします。最適な設定で、アークレイダースの過酷な世界を生き抜いてください!