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【2025年10月版】最新ブラウザ・ベンチマークバトル(Speedometer 3.1)

ポイント3行

  • Speedometer 3.1による最新スコアで、Blink勢(Chrome系)が圧倒的優勢
  • WebKit勢は善戦するも、依然としてSafari以外は伸び悩み
  • Firefox(Gecko勢)は、時代に取り残された感が否めない

macOS ARM時代、ブラウザ性能戦争の現実

Apple Silicon (ARM) の登場から数年が経過しました。各ブラウザ開発陣は「ARMネイティブ対応だ!」「Mチップ最適化だ!」と声高に叫び、パフォーマンス競争を繰り広げてきましたが、2025年10月の現実は非常に冷たく、そして明確な結果を示しています。

最新のWebアプリケーション応答性ベンチマーク「Speedometer 3.1」で見る限り、もはや勝負はついてしまったと言っても過言ではありません。

このベンチマークは、単純なページ読み込み速度ではなく、ユーザーのクリックや入力といった操作に対してWebアプリケーションがどれだけ機敏に反応するかを測定するものです。つまり、現代の複雑なWebサービスにおける「体感速度」を最も正確に反映する指標の一つです。

その結果は、Blinkエンジン(Google Chrome系)の独走、そして圧勝です。

驚くべきことに、Microsoft EdgeとGoogle Chromeが同率1位(46.9)という皮肉な結果を叩き出しています。かつては独自のエンジンで苦戦したMicrosoftが、Blinkを採用したことでトップに躍り出たのです。

これはもはや「好みで選べば良い」というレベルではなく、「勝者はBlink、敗者はそれ以外」という残酷な現実を突きつけています。

スコアランキング一覧(2025年10月版)

以下が、macOS ARM環境におけるSpeedometer 3.1の最新スコア一覧です。

順位 ブラウザ名 エンジン スコア トレンド
1 Microsoft Edge Blink 46.9 -2.9%
2 Google Chrome Blink 46.9 -3.6%
3 Google Chrome Canary Blink 46.4 +24.6%
4 Safari WebKit 46.3 +5.6%
5 Ora WebKit 45.9 +4.6%
6 Orion WebKit 45.8 -0.5%
7 Neo Blink 45.7 -4.0%
8 Helium Blink 44.9
9 Vivaldi Blink 44.8 -4.6%
10 Comet Blink 44.7 -4.8%
11 Opera Blink 44.3 -1.8%
12 Brave Blink 44.2 -3.8%
13 Opera GX Blink 42.9 -2.9%
14 Dia Blink 41.6 -2.3%
15 Web WebKit 41.2
16 Arc Browser Blink 41.2 -2.6%
17 Strawberry Blink 40.3 -6.0%
18 Kosmik Blink 38.9 -0.7%
19 Firefox Developer Edition Gecko 38.2 +0.3%
20 BrowserOS Blink 38.0 -2.3%
21 Yandex Browser Blink 37.9 -2.0%
22 Firefox Gecko 36.8 -2.9%
23 DuckDuckGo Browser WebKit 36.4 -1.0%
24 Waterfox Gecko 35.8 -1.6%
25 Firefox Nightly Gecko 35.7 -8.7%
26 Zen Browser Twilight Gecko 34.7 -3.3%
27 Zen Browser Gecko 34.6 -4.6%
28 Floorp Gecko 29.5
29 Sigma OS WebKit 29.1 -5.5%
30 Fellou Blink 27.6 -27.0%

引用元: BrowseRating - Browser Performance for macOS, Windows and Android

Gecko(Firefox系)の悲劇と転落

このランキングを見て、特筆すべきはFirefox(Geckoエンジン)勢の壊滅的な転落劇です。

Mozillaが掲げるWebのオープン性やプライバシー保護の理想は尊いものです。インターネットの多様性を維持するために、Blink一強に立ち向かう姿勢も立派です。

しかし、パフォーマンスという冷酷な現実の前では、その善意も無力です。

Speedometer 3.1で見る限り、本家であるFirefox本体のスコアは「36.8」。 これは、トップのEdge/Chrome(46.9)と比較して、実に約21.5%も遅いことを意味します。体感できるレベルを遥かに超えた、明確な性能差です。

さらに深刻なのは、Firefox Nightly(開発最先端バージョン)ですら35.7と低迷し、トレンドも-8.7%と大幅に悪化している点です。これは、将来的な改善どころか、Blinkとの差がさらに広がる可能性を示唆しています。

Waterfox、Floorp、ZenといったGeckoベースの派生ブラウザたちも、軒並み低スコアに沈んでいます。彼らは「遅い親のDNAを受け継いだ悲劇の子孫」状態であり、独自の機能追加も、ベースとなるエンジンの遅さの前では焼け石に水です。

一部の擁護者は「Geckoはアーキテクチャが古いから仕方ない」「プライバシー機能を優先しているからだ」と言うかもしれません。しかし、それを一般ユーザーが理解し、我慢する義理はありません。

クリックがワンテンポ遅れ、スクロールがカクつき、複雑なWebアプリのUIがフリーズする――そんなストレスフルな体験を、誰が好き好んで選ぶでしょうか。

Blinkが勝ち続ける理由と、開発者の本音

なぜBlinkエンジンはここまで強いのでしょうか。それは、Googleが長年にわたって注ぎ込んできた圧倒的な開発リソースと、JavaScriptエンジン「V8」の継続的な最適化の暴力的な結果です。

JavaScript処理、DOM操作、GPUアクセラレーション、メモリ管理、そのすべての面で他エンジンを凌駕しようと最適化が続けられています。macOS ARM環境では特にその差が顕著です。

唯一対抗できているのは、OSとハードウェアを両方手掛けるApple自身のSafari(WebKit)だけです。Safariは46.3というスコアを叩き出し、Blink勢に肉薄しており、Apple Siliconのポテンシャルを最も引き出しているブラウザの一つであることは間違いありません。

しかし、ArcやOrionといった他のWebKit系ブラウザは、Safariほどの性能を安定して出せていない状況も見受けられます。

開発者から見た「Firefox問題」

このGeckoの性能低下は、ユーザー体験だけの問題ではありません。Webサイトやアプリケーションを開発する「開発者」にとっても深刻な問題を引き起こし始めています。

Web開発者は伝統的に、Blink (Chrome), WebKit (Safari), Gecko (Firefox) という3大エンジンの間で、表示や動作が崩れないように「互換性対応」を行う必要がありました。

しかし、Firefoxのユーザー数が減少し、なおかつパフォーマンスでこれだけの差をつけられると、「Gecko対応に割く開発コスト」の費用対効果が著しく悪化します。

CSSの微妙な解釈の違いを修正したり、Geckoでだけ発生するバグを追跡したりする作業は、多大な工数を必要とします。

もしFirefoxのユーザー数が今後も減り続けるのであれば、開発者コミュニティからは「Firefoxのサポートを打ち切る」という声が大きくなるでしょう。

極論すれば、Firefox(Gecko)のユーザー数が減れば減るほど、開発者側の動作検証コストは抑えられます。市場からGeckoが事実上いなくなれば、開発者はBlinkとWebKitという、比較的挙動が近い2つのエンジンだけを考慮すれば良くなり、開発スピードと品質はむしろ向上するかもしれないのです。これは皮肉な現実です。

「Firefoxを使うな」という残酷な結論

このベンチマーク結果を見てもなおFirefoxを使い続ける理由があるとすれば、それは「Mozillaの理念への共感」「長年のノスタルジー」「あるいは意地」くらいでしょう。

しかし、それらの感情は、日々のブラウジングで感じるミリ秒単位の遅れやストレスを正当化する理由にはなりません。

現代のWebは、速さが正義です。 仕事の効率も、情報の取得速度も、UI/UX(ユーザー体験)も、すべてはパフォーマンスにかかっています。

あえて結論を言うならば、2025年の今、macOS ARM環境でFirefoxを使い続けるというのは、「自らエンジン性能の棺桶に入り、Web体験の速度を放棄する」ことと同義なのかもしれません。

まとめ

2025年秋のmacOS ARMブラウザ界隈は、Blink(Chrome, Edge)一強時代が揺るがない現実を示しています。

プラットフォームホルダーであるAppleのSafari(WebKit)は健闘していますが、Firefox(Gecko)は明確に「置き去り」にされました。

もしあなたがまだ習慣でFirefoxのアイコンをクリックしているなら、そのワンクリックが、トップティアのブラウザ体験からどれだけ自分を遠ざけているか、少しだけ思い出してみる必要があるかもしれません。